NMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)とは?
正式名称は「ニコチンアミドモノヌクレオチド」。
・NMNは加齢によって減少する⽣体内物質「NAD」の前駆体のこと
・その細胞内濃度を維持することで、健康的な⾝体のコンディションを維持することが期待されている
・NADの量は50代で20代のころの半分にまで減少すると⾔われている
・NMNは全ての⼈が⾝体の中に元々もっている物質であり、⺟乳の初乳や野菜にも含まれる
NMNは細胞内でNADに変換され2種類の⽅法で利⽤される
1.⻑寿遺伝⼦「サーチュイン」を活性化する(酵素の基質)
NADはサーチュインに結合して活性化する(サーチュインの脱アセチル化反応にNADを使う)。ヒトとマウスはサーチュン遺伝⼦を7種類持っている(Sirt1-7)。
NADは7種類のサーチュインすべてを活性化する。
サーチュインには⼤きく分けて以下の4種類の機能がある。
①エピゲノムのコントロール(DNA修復。Sirt1, 6, 7)②エネルギー代謝のコントロール(ミトコンドリアの質、量。Sirt3, 4, 5) ③細胞分裂のコントロール(卵細胞の形成。Sirt2)
④Clock, Bmal1といった時計遺伝⼦の活性を制御(Sirt1)
NADはこの他にPARP:Poly (ADP-ribose) polymeraseなどを活性化する。
2.エネルギーをつくる(酸化還元の補酵素)
ミトコンドリアでエネルギー(ATP)を産⽣するときの電⼦供与体である。
すべての真核細胞(動物、植物、菌)、ほとんどの古細菌と細菌がNADを利⽤してATPをつくっている。
ATPはすべての⽣き物が⽣きるために使うエネルギーである。NADはATPをつくるために必須の補酵素であり、NADがなくなると⽣き物は死ぬ。
NADはすべての動物にとって、⽣きるために必須の分⼦である。
NMNはNADの最も直接的な前駆体として考えられている。
NMN摂取により期待される効果(非臨床)
NADの前駆体であるNMNの投与によりマウスの各臓器⽼化症状、加齢疾患の発⽣が遅延したマウス実験
NMN投与/サーチュイン因子活性化の効果 | ![]() | 関与が期待されるヘルスベネフィット | |
体重 | 加齢に伴う体重増加の抑制(ダイエット効果) | ||
代謝 | エネルギー代謝の促進 | ||
活動性 | 身体活動の上昇 | ||
糖代謝 | インスリン感受性の亢進 | ||
脂質 | 脂質代謝の改善 | ||
筋力 | 骨格筋ミトコンドリアの改善 | ||
老化 | 主要代謝組織での老化に伴う 遺伝子発現変化の抑制 | ||
眼 | 眼機能の改善、ドライアイ改善 | ||
骨 | 骨密度の上昇 | ||
免疫 | 免疫細胞数の改善 |
加齢によって衰える臓器・機能において改善が期待
1.慶應義塾⼤学:安全性確認
伊藤裕教授らと⽶国ワシントン⼤学の研究グループは、NMNが、健康なヒトに安全に投与可能であることを、世界で初めて明らかにした。
40-60歳の健康な男性10⼈が、平均2か⽉の間隔で1回あたりNMN100-500mgを、計3回服⽤。⾎圧や脈に変化がなく、肝臓や腎臓などの働きを調べる検査でも異常が⾒られなかった。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2020/1/21/200121-1.pdf
2.⽇本体育⼤学:探索試験
若年健康男性を対象に、最⼤酸素摂取量60%の運動強度のサイクリングを45分間実施し、運動中に呼気ガスを計測し、呼吸交換⽐とエネルギー基質酸化量を計測。NMN摂取前と摂取後で⽣じる変化を検証。
運動中の脂質代謝が向上することを⽰唆する結果を得た。
https://life-is-long.com/article/423
3.ワシントン⼤学:有効性検証
55-75歳の糖尿病と⼼⾎管疾患の⼥性を対象にNMNの⾎糖値の制御と代謝や⾎管などへの効果を研究中。
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03151239
4.⼤阪⼤学医学部附属病院:有効性検証
65歳以上の糖尿病患者の男性を対象にNMNの⾝体的フレイルへの効果を研究中。
科学界の研究